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信頼性確保部門の10年間(1998年2007年度) 疫学研修 | 兵庫県立健康生活科学研究所 健康科学研究センター

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(1)

兵庫県における食品検査信頼性確保部門の

10

年間について

兵庫県立健康環境科学研究センター企画情報部

Ⅰ はじめに

食品の安全性のために、より正確、精密な検査の必要性が要求されるようになったこと

に加え食品流通の国際化に伴い、国際的な基準に基づいた試験検査の信頼性の確保が強く 求められるようになった。

このような背景から、食品衛生法が改正され、都道府県等が設置する食品衛生検査施設

に対して検査等の業務管理(以下GLP)が義務付けられた。

兵庫県では、平成9年4月から、食品衛生法施行令及び同法施行規則に基づき、県立衛

生研究所(現県立健康環境科学研究センター)にGLPを導入し、検査部門から独立した立場

で環境保健部に信頼性確保部門を設置するとともに、同部長を信頼性確保部門責任者とし

た。平成10年4月には検査室設置保健所 (現検査室設置健康福祉事務所)及び食肉衛生検査

施設にGLPを導入し、県立衛生研究所環境保健部が信頼性確保業務を行い、健康福祉部生

活衛生課長を業務管理総括責任者とした兵庫県のGLP体制が整った。その後、平成14年

度の衛生研究所と公害研究所の統合に伴い、県立健康環境科学研究センター企画情報部に 信頼性確保部門が置かれるとともに、同部長を信頼性確保部門責任者とした。

信頼性確保部門では、兵庫県食品衛生検査施設に対して内部点検の実施、精度管理の結 果の確認等を行い、検査が適正に実施され、信頼に足るものであることを検証する業務を 行ってきた。

今回、信頼性確保部門のさらなる向上に資することを目的として、平成10年度から平成

19 年度の 10 年間に信頼性確保部門が実施した内部点検の状況並びに検査部門が実施した

内部精度管理及び外部精度管理の結果等を通じて信頼性確保部門の解析評価を行った。

なお、平成9年度は、GLP対象施設が県立衛生研究所だけであったこと、平成 10年度

からは、保健所検査室、食肉衛生検査センターもGLP対象となり、兵庫県全体のGLP体

制が整ったことから、平成10年度以降について解析評価した。

Ⅱ 対象施設

(

食品衛生検査施設

)

平成10年度は、県立衛生研究所(微生物部、食品薬品部、生活環境部)、検査室設置保健

所(西宮、加古川、竜野、豊岡、篠山、洲本)、食肉衛生検査センター及び食肉衛生検査所(阪

神、西播磨、但馬、淡路)の計14施設であった。平成12年度は、西宮市の政令市移行に伴

い、阪神食肉衛生検査所が対象外になるとともに、西宮保健所検査室に代わり宝塚保健所

に検査室が設置され計13施設となった。平成13年度は、機構改革に伴い検査室設置保健

所6施設が検査室設置健康福祉事務所となった。平成14年度は、衛生研究所の統合により

健康環境科学研究センターとなり、感染症部、健康科学部、大気環境部が対象施設となっ

た。平成17年度からは社健康福祉事務所検査室が対象になるとともに、篠山健康福祉事務

所検査室が柏原健康福祉事務所検査室に組織変更され、計14施設となった。

ここでは、平成10年度から平成19年度の延べ135施設に対して行った信頼性確保部門

業務について解析対象とした。

Ⅲ 方法

信頼性確保部門責任者が各検査部門責任者に通知した「内部点検実施結果報告書」、「内

部点検に伴う問題点の指摘事項勧告書」及び「外部精度管理調査に伴う問題点の指摘事項

勧告書」、各検査部門責任者から信頼性確保部門責任者に提出された「内部精度管理結果報

告書の写し」、財団法人食品薬品安全センター発行の「食品衛生外部精度管理調査結果報告

書」、及び財団法人日本分析センター発行の「放射能分析確認調査事業報告書」等を用いて

(2)

Ⅳ 結果及び考察

1. 内部点検の実施状況

1.1 信頼性確保部門職員数

内部点検を実施した信頼性確保部門の職員数は、平成10年度から16年度は信頼性

確保部門責任者1名と指定職員5名、平成17年度からは信頼性確保部門責任者1名と

指定職員4名である。10年間で延べ57名、実人員18名で内部点検を行った。

1.2 内部点検実施日数、実施人数、実施件数及び延べ項目数

図 1 に、信頼性確保部門が行った内部点検の実施日数、実施人数、実施件数の推移

を示す。

内部点検の実施件数は、概ね経年的に増加している。また、実施人数と実施日数は、

概ね連動している。

① 平成13 年度は、健康環境科学研究センターと検査室設置健康福祉事務所の点検を

充実させるため、実施日数を増やした。

② 平成14年度は内部精度管理の点検を強化するため、実施件数を増やした。

③ 平成17 年度は、1か所対象施設が増えたことと、健康環境科学研究センター健康

科学部において、前年度点検を実施していなかった輸入食品における指定外添加物 試験等の検査項目についても点検を行った結果、実施日数、実施人数、実施件数が 増えた。

④ 平成18年度は、検査項目ごとの点検を強化するため、実施件数を増やした。

⑤ 平成19年度は、効率的に点検を実施するために、1日あたりの点検件数を増やし、

実施日数を減らした。

図1 内部点検実施状況の推移

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 年度

点検実施人数 点検実施件数 点検実施日数

1.3 内部点検における重要点検項目

表1に、年度ごとに設定した内部点検の重要点検項目を示す。

平成12年度からは、GLPの充実強化のため、重要点検項目を設定して内部点検を

行った。

その結果、標準作業書の整備も進み、内部精度管理も実施されるようになったほか、

検査に関する記録の徹底、検査結果の算出根拠の明確化等が充実した。

表1 内部点検における重要点検項目

平成12年度 微生物検査実施標準作業書の充実及び検査記録の徹底

平成13年度 微生物検査における内部精度管理の充実及び検体受領時の点検強化

平成14年度 理化学検査における内部精度管理の充実及び機械器具の日常・定期点検の徹底

平成15年度 全標準作業書の見直し

平成16年度 各記録簿への記入の徹底

平成17年度 毒劇物の管理状況及びコンピュータによるデータの保管・管理方法の規定

平成18年度 生データの確認及び検査項目ごとの点検強化

(3)

1.4 内部点検実施結果に基づく改善措置要請事項

内部点検の結果、重大なものについては改善措置並びに報告を求めた。

① 平成12年度は、微生物検査室と事務室の区分がなかった1施設に対して改善を求

めた結果、年度内には独立した微生物検査室が整備された。

② 平成15年度は、記載内容に誤りがあった試験成績書を発行した1施設に対して改

善を求めた結果、原因の究明と再発防止策が講じられた。

③ 平成19年度には、標準作業書に明記している保存期間を超えた標準原液を使用し

た1施設に対して改善を求めた結果、再発防止策が講じられた。

1.5 内部点検実施結果に基づく不適事項

1.5.1 不適件数

図3に、内部点検実施件数と不適件数の推移を示す。

平成17、18年度に不適件数が増えているのは、それまで点検していなかった毒劇

物の管理等の点検を強化したことと、「食品衛生検査施設における検査等の業務管理

要領」(以下「業務管理要領」)に基づき作成したチェックリストにおいて、不適の場合

は区分責任者と合意の上、不適の報告を口頭ではなく全て文書で行ったためである。

過去10年間の内部点検において、適・不適の判定はチェックリストに基づき行っ

てきているが、検査施設への点検結果の周知方法や検査部門に求める基準に一貫性 に欠ける部分があることから、各施設の評価について、不適件数からだけでは判断 が困難な部分がある。

なお、GLP検査を初めて担当する者が不適を出しやすいといった傾向は見られな

かった。

図2 内部点検実施件数と不適件数の推移

0 20 40 60 80 100 120 140 160

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 年度

内部点検実施件数 不適件数

1.5.2 検査施設の不適事項

表2に、内部点検における検査施設の不適事項を示す。

平成10 年度は標準作業書が未整備、管理担当者が未決定等、GLP 体制が整って

いないがための不適事項が見られたが、近年は記録もれ等の不適事項が見られる。 内部点検において、毎年不適事項はいくつか見られるが、点検後、改善が認められ た。また、その検査結果を撤回しなければならないような不適切な検査の実施は認

められなかった。ただ、第3者に対して検査結果の信頼性を証明するためには、「業

務管理要領」に基づいた適切な検査の実施が求められているため、信頼性確保部門 は不適事項について改善を促してきた。

また、平成19年度後半からは、検査施設に対して日常の自主管理のために、自己

(4)

2

 内部点検おける検査施設の不適事項

  不 適 事 項 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19年度

職務分掌未作成 1

清掃・整理整頓の未記録 1

洗浄剤交換記録簿旧様式に記載 1

清掃記録の様式が区域別でない 1

毒劇物の管理が不適正 9 2 1

感染性医療廃棄物委託契約書の記入もれ 1

感染性医療廃棄物委託未契約 2

収去物品送付書未確認 1

試験品採取記録表と試験品が合致未確認 1

試験品受領時検体管理台帳未作成 1

受領記録に試験品数量未記載 1

試験品採取の記録と検査依頼書の検査項目確認もれ 1

送付書と試験品の合致未確認未記載 2

標準作業書の未整備 1

検査実施標準作業書に結果の評価方法( 内部精度管理) を未記載 1

標準作業書の未改訂 2 1

標準作業書を管理するためのリスト未作成 4 2

旧作業書の誤使用防止未措置 2

室温の管理不備 1

検査環境の不備 1

機械器具の不適切な配置 1

検査進行状況に合わせた検査記録未実施 1

検査記録の一部( 溶液の作成日) に記載もれ 1

内部精度管理が実施されていない項目あり 1

検査に関する記録のチェックもれ 1

標準作業書どおり実施せず 2

容易に消すことのできる筆記具での記録 1

内部精度管理において陰性対照として適正でない食品の使用 1

試薬容器への未表示及び管理担当者の未決定 1

不適正な試薬管理 1

試薬等管理担当者の未決定及び使用した試薬の記録不備 1

試薬等の管理記録不備 1 2

試薬容器への必要事項表示もれ及び管理担当者の未決定 1

試薬等容器に開封日未記入 1

標準株の保存方法・表示不備 1

一部の試薬の管理台帳未作成 1

標準菌株管理簿の未作成 1

試薬の調整記録未作成 1

機械器具の担当者未表示及び使用時点検未記録 1

機械器具使用時点検未記録 1

機械器具に管理担当者名未表示及び使用機器の常時点検未実施 1

使用時点検簿の記入漏れ 1 1

機械器具の日常点検簿不備 1 1

機器の未整備 1

機械器具保守管理標準作業書からの一部逸脱 1

機械器具日常点検・異常時点検・修理記録簿等の記録なし 1

機械器具日常点検記録なし 1 1

成績書SOP番号の記載ミス 2

検査実施記録等に区分責任者の確認印もれ 1

内部精度管理を実施していない項目あり 1

成績書検査項目の一部記載もれ 1

陽性対照の未実施 1

結果の記載に不備 1

検査結果通知書の不備 1

検査結果通知書( 控) の一部に転記ミス 1

検査実施方法( SOP番号) についての確認ミス 1

製造者氏名欄2ヶ所記載もれ 1

成績書の試験品数量記入もれ 1

適正に作成されたことの確認不良 2

試薬管理台帳に一部の試薬記録なし 2

合計 11 2 3 2 1 3 5 29 23 11

機械器具の保守管理

検査等の結果の処理

検査結果通知書

検査に関する記録の帳簿 組織及び職員

施設管理

毒劇物等の管理

委託業務

試薬等の管理 試験品受領

標準作業書

検査操作区域

(5)

1.5.3 試験品採取(収去)施設の不適事項

表3に、内部点検における試験品採取施設の不適事項を示す。

平成11年度は、試験品搬入時に食品衛生監視員の立会いがない等の不適事項が4件

見られ、次年度以降改善が認められたが、最近、不適事項が見受けられる。

試験品採取施設は、試験品採取・搬送と検査結果に重要な影響を与える業務を行う ため、トレースバックを念頭においた適正な収去が求められる。

 表3 内部点検における試験品採取施設の不適事項

  不 適 事 項 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19年度

申請・受付

試験品搬入時食品衛生監視員の立会いなし 1

試験品採取の記録及び検査依頼書の検査項目に一部記載もれ 1

試験品採取

収去物品送付書持参せず 1

搬入の試験品にロット混同あり 1 1

試験品搬送

カードロガーの収録不備 1

試験品受領時、冷凍試験品の解凍 1

試験品搬送時、試験品保存温度超過 1

2. 食品衛生検査施設が自ら実施した内部精度管理結果報告書の評価確認状況

2.1 評価確認件数

表4に、内部精度管理結果報告書の年度別評価確認件数を示す。

① 平成10年度から19年度に延べ5736件の内部精度管理結果報告書の評価確認を行

った。

② 内部精度管理の必要性を指導した結果、平成 13 年度からはすべての施設から内部

精度管理結果報告書の写しが提出されるようになった。

③ 各施設間の件数の差は、収去回数、検査項目、検査項目数等の違いによるものであ

る。

表4 内部精度管理結果報告書の年度別評価確認件数

年 度 施 設 名

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

A 0 10 4 6 - - - -

B - - - - 12 14 8 11 4 5

C 178 142 126 123 - - - -

D - - - - 145 259 350 362 408 416

E 4 6 - - - - -

F 21 26 74 77 147 149 159 133

G 0 3 11 32 41 80 86 77 102 73

H - - - - - - - 82 127 118

I 2 11 29 40 32 39 47 82 96 96

J 1 12 12 18 39 32 51 51 48 61

K 1 1 6 5 10 32 36 - - -

L - - - - - - - 37 26 38

M 4 5 19 18 22 57 34 75 75 80

N 1 0 0 3 8 7 16 13 13 12

O 1 0 - - - - -

P 1 0 2 3 3 3 3 3 3 3

Q 1 0 0 3 3 3 3 3 3 3

R 1 3 0 3 3 3 3 3 3 3

合計 195 193 230 280 392 606 784 948 1067 1041

−:該当なし

2.2 評価

① 理化学検査の結果は、陰性対照、回収率、平均値、標準偏差、Zスコア等評価は適

であり、改善措置が必要なものは見られなかった。

② 微生物検査の結果は、陰性対照、培地対照、同定結果の評価は適、また、菌数測定

(6)

③ 各施設の検査法・検査機器・検査精度が適正に保たれていることが確認できた。

④ 内部精度管理結果の評価が適であっても、外部精度管理調査で評価基準外となるも

のがあった。これは、内部精度管理に認証標準物質となる食品を使用するのが困難な こと、検査担当者が試料を調製し添加量を知っていること、外部精度管理調査が他施 設との測定値の比較により評価が行われること等が原因と思われる。

⑤ 回収率と変動係数について、経験年数2年以下と3年以上で比較を行ったが、有意

な差は認められなかった。これは、収去品・検査項目・施設等により添加回収試験に

使用する食品、添加量が同一ではないこと、また試料は自家調製であること等により、

厳密な比較が困難であったことも一因と思われる。

3. 外部精度管理調査参加状況

3.1 外部精度管理調査参加項目別年度別参加件数

表5に、外部精度管理調査参加項目別参加件数を示す。

参加件数は毎年30件前後で推移している。着色料、米のカドミウムについては、それ

ぞれ平成 14 年度、15 年度から始まった検査項目である。その他の項目については、参

加当初から継続的に実施され、調査に参加している。

結果は、保存料、重金属検査等で評価基準外になる傾向が見られたが、概ね良好な評 価であった。

表5 外部精度管理調査参加項目別年度別参加件数

年 度 参 加 項 目

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 食品添加物検査Ⅰ( 着色料) 5 7 7 4 1 3 重金属検査Ⅰ( Cd、Pb) 7( 4) 4 4 4( 2) 1 1 2 7 1 食品添加物検査Ⅱ( 保存料) 7( 1) 7( 1) 7 7( 1) 7 6( 3) 6 7 8( 1) 8 重金属検査Ⅱ(米 Cd) 1 1 1( 1) 1 1 残留農薬検査 1 1 1 1( 1) 1( 1) 1 1 1 1 1 残留動物用医薬品 2( 1) 1( 1) 1 1 1 1 1 1( 1) 1 1

大腸菌群検査 7( 1) 2 1 1 1 1

一般細菌数測定検査 7 7( 1) 7( 1) 7 7 7 7 8 8 8( 1) 黄色ブドウ球菌検査 7 1 2 3 サルモネラ属菌検査 7 7 2 2( 1) 6 1 1 5 大腸菌検査 7 7 7 1 1 5 1 1 1 1 放射能検査 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 合計 39( 6) 28( 3) 35( 2) 29( 4) 33( 1) 34( 4) 35 31( 2) 31( 1) 31( 1)

( )は評価基準外の件数を内数で記入

3.2 外部精度管理調査施設別評価良好件数及び評価基準外件数

図4に、外部精度管理調査施設別評価別件数の推移を示す。

外部精度管理調査の結果、評価基準外になった施設について、特定の施設に偏った傾 向は見られず、各施設とも改善傾向にある。

図3 外部精度管理調査施設別評価別件数の推移

研究センター 0

5 10 15 20 25 30 35

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

健康福祉事務所 0

5 10 15 20 25 30 35

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

食肉衛生検査センター 0

5 10 15 20 25 30 35

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 年度

(7)

3.3 外部精度管理調査結果に基づく改善措置要請事項

3.3.1 改善措置要請事項

① 外部精度管理調査結果の評価に基づき、評価基準外であった施設に対して改善措

置を求めた。その結果、評価基準内に入るよう検査手法等が改善される等の改善

措置を確認した。ただ、平成14年度以前については、改善の必要があるにもかか

わらず求めていないもの、また、改善を求めているが講じた改善措置内容の記録 がないものが見られた。

② 改善措置要請事項では、Rが管理線を超えたことによるものが半数を占めている。

また、Xbarが管理線を超えたこと、Zスコアが管理線を超えたことによるもの等

があった。

③ 改善措置を求めた結果、次年度同じ検査項目で評価基準を超えた施設はなかった。

以上のことから、外部精度管理調査結果を速やかに検査施設に伝え、改善を求め ることが、技能水準の向上に繋がると考えられる。

3.3.2 改善措置内容

表6に外部精度管理調査の結果に基づき講じられた改善措置内容を示す。

各検査施設において、評価基準外となった原因を究明し改善が図られた。このよう

に、全国レベルの技能試験である外部精度管理調査の結果が、検査施設の検査精度・ 検査手法等の問題解決のために有効に活用された。

表6 改善措置内容

分析法が適切でなかったため、分析法を一斉分析で用いるグラジエント法に変更 検体採取量の変更

標準作業書を作成し検査実施方法の明確化を図る

試料採取量と最終試料溶液の変更と機器の安定化確認後の測定 検出器の安定化を確認後定量計算を行う

業者に機器点検を依頼し、カラムと流路フィルターを交換し流速を下げた

標準作業書に記載されている文章・内容に不確かなところがあったため、標準作業書を改訂し実施する 4回測定後数時間後(4時間後)に5回目の測定をしたため、連続して5回測定を実施する

熟練度不足のため、検査を重ね再現性の向上を図る

標準溶液作成時使用したマイクロピペットでは標準液採取量に誤差が生じるため、標準原液の希釈にバラツキの少ないガラスピペットを使用する 抽出溶媒が可燃性のため燃料ガス(アセチレン)と空気の流量を低く設定したことが原因であるため、設定値を高くする

器具の太さの違いにより水蒸気流入量に差が生じ、試料液量が一定でなかったため、同じ形状の器具を使用し、試料液量を一定に保つようにする 最小希釈倍数のコロニー数が30未満となり適切な希釈倍数でカウントできなかったため、30から300のコロニー数になるように希釈液を作成し培養検査を行う

3.4 要因相互調整オッズ比

表7に、年度と検査担当者の経験年数が評価結果に関連する要因と考えてロジスティ

ック回帰分析を適用した結果を示す。

経験年数3年以上を基準にした2年以下の評価基準外に関するオッズ比は2.35(95%

信頼区間1.06∼5.17) 、平成16年度から19年度を基準にした10年度から12年度、13

年度から 15 年度の評価基準外に関するオッズ比はそれぞれ 5.80(95%信頼区間 1.83∼

18.4) 、5.58(95%信頼区間1.72∼18.0) であった。この要因相互調整オッズ比から、検査

担当者の経験年数が評価結果に関連すること、平成16年度から19年度の評価結果がそ

れ以前より改善していること等が明らかとなった。

この結果は、検査担当者への技術研修や、外部精度管理調査への継続的参加が精度管 理上で重要であることを示唆している。

表7 要因相互調整オッズ比

オッズ比の 95% 信頼区間

オッズ比

下 限 上 限

経験年数 2 年以下/ 3 年以上 2. 346 1. 064 5. 173

平成 10∼12 年/ 平成 16∼19 年 5. 798 1. 827 18. 399

年度区分

(8)

4. 研修等の状況

4.1 食品衛生検査施設に対する研修

平成12年度から開催されている兵庫県食品衛生検査施設業務管理連絡協議会におい

て、検査部門責任者並びに検査区分責任者に対して内部点検の結果等の報告を延べ7回

行った結果、GLPの周知徹底・強化が図られた。また、平成10年度から19年度に検

査室長・検査担当者に対して延べ19回、食品衛生監視員に対して延べ3回研修を行っ

た結果、担当者にGLPの重要性の認識と意識付けが図られた。

4.2 信頼性確保部門の受講研修

食品衛生検査施設信頼性確保部門責任者等研修会に毎年出席した。その結果、食品検 査の信頼性確保についての理解を深め、内部点検に活かしてきた。

Ⅴ まとめ

兵庫県食品衛生検査施設に対して、信頼性確保部門業務を行い10年が経過した。

今回、信頼性確保部門のさらなる向上に資することを目的として、平成10年度から平成

19 年度の 10 年間に信頼性確保部門が実施した内部点検の状況、内部精度管理及び外部精

度管理の結果について解析を行った。

1. 内部点検について

年度ごとに重要点検項目を定め、内部点検を行った結果、標準作業書の整備、内部精度 管理の実施、検査記録の徹底、検査結果算出根拠の明確化等が年々充実した。

内部点検の実施は、速やかで有効な改善に繋がってきた。しかし、信頼性確保部門の点 検に一貫性に欠ける部分があったこと等により、不適件数からだけでは、各施設の評価は 困難であった。より信頼性のある食品衛生検査施設となるために、関係職員の経験年数、 担当人数、検査項目数、業務配分等も検証し不適となる要因を解析する必要がある。

さらに、信頼性確保部門の業務を客観的に自己評価し、検査精度の維持向上に繋がるよ うな効率的、効果的な内部点検を行うこと、ヒヤリハット事例を共有しリスク管理を行う こと、食品衛生検査施設自らが不適事項に気づき、改善に取り組めるよう自己点検を推奨 し、組織全体の底上げに繋げていくことが必要と思われる。

2. 内部精度管理について

各施設の検査法・検査機器・検査精度が適正に保たれていることが、内部精度管理の技 能評価により明らかとなった。しかし、内部精度管理で評価が適であっても、外部精度管 理では評価基準外となるものも見られたため、今後は内部精度管理の評価方法、認証標準 物質の代替となるような食品を用いた内部精度管理の実施、添加量が未知の食品を用いた 内部精度管理の実施等を検討する必要がある。

3. 外部精度管理について

全国レベルの技能試験である外部精度管理調査の客観的評価が、検査施設の検査精度・ 検査手法等の問題解決のために有効に活用された。

解析結果より、検査担当者の経験年数が評価結果に関連すること、平成16年度から19

年度の評価結果がそれ以前より改善していること等が明らかとなった。このことから、外 部精度管理調査への継続的参加や検査担当者の技術研修が精度管理上重要であることが 示唆される。

4. 研修について

研修の実施により、関係職員に対するGLP の取り組みへの理解と意識の向上が図られ

た。

今後、関係職員の異動等に対応するため、研修体系の構築並びに計画的な研修参加が

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2011

①生活介護 定員 60 名 ②施設入所支援 定員 40 名 ③短期入所 定員10名 ④グループホーム 定員10名 ⑤GH 併設短期入所 定員3名. サービス 定員 延 べ 利

10日 主任介護支援専門員研修 名古屋市商工会議所 10日 介護支援専門員専門研修課程Ⅰ 伏見ライフプラザ 11日 二次予防事業打合せ(支援)

既存の生活介護(定員 40 名、職員配置 1.7 : 1 )に加え、 4 月 1 日から新設 の通所生活介護「木の香」 (定員 20